"TV Gear"を作ってみた(ゲームギアのRGB出力化改造)



なにかいかがわしいケーブルが!


概要

ゲームギア(以下GG)のTV出力化(RGB出力)改造。
"SMS Power!"のフォーラム"GameGear-TV"中、特に"xavier"氏の記事を元にGGを改造してみた模様をレポートする。


序文 〜 よみがえれゲームギア 〜

ゲームギアは1990年、セガから発売された携帯用ゲーム機です。 「GGアレスタ」「GGアレスタII」等のコンパイル製シューティング、「女神転生外伝 ラストバイブルスペシャル」「シャイニングフォース外伝 FINAL CONFLICT」など、 GGでしか遊べないタイトルも多数リリースされました。

ゲーム画面には、カラー液晶+バックライトが標準装備されていましたが、ゲームボーイアドバンスSP等と比較すると、 まだまだ画質の悪いものが使用されていました(あと、分解すると、蛍光灯のようなものが内蔵されてます。これで画面を裏から照らしているみたいですね)。
画質の悪さ、画面上での残像の発生等の理由で、ロールプレイング、アドベンチャーゲームはともかく、シューティング、アクションゲームを遊ぶには少々辛いものがありました。
GGのTVの大きな画面で遊ぶ、これは全ユーザの夢だったと言っても過言ではなかったでしょう。

しかし先日、GGを改造し、ゲーム画面を外部出力する方法がついに発見されました。 その方法は"SMS Power!"のフォーラム"GameGear-TV"で紹介されています。 さっそく書き込みを元に改造してみたので、その様子をレポートします。


注意:
本ページは、"SMS Power!"のフォーラム"GameGear-TV"中、特に"xavier"氏の記事、および回路図(2005/03/23のもの)を元に、 GGの改造方法のHowToを紹介するものです。
TV Gearの回路の考案者はxavier氏です。作例の発表を許可してくださった氏に感謝します。


1.製作準備

まずは部品集めです。ちなみに、本改造を行えるGG本体には制限があり、「2ASIC版のGG」を用意する必要があります。
ゲームギアのモデルチェンジについては、別途こちらも参考にしてください。

集める電子部品についてはフォーラムの中に記載がありますが、私は以下の部品を集めました。

品名個数備考
GG本体12ASIC版のもの(初期型?)
私が購入したのはジャンクで、LCDの発色にムラが出てしまっているものでした。
本改造には全く影響ありませんでした。
IC 74HC1321「74LS」ではなく、「74HC」タイプのもの
74HC132用のICソケット1-
IC 74HCT5743-
74HCT574用のICソケット3-
抵抗 2.2kΩ3赤赤赤金。RGB各色用に3本
抵抗 1.1kΩ3茶茶赤金。RGB各色用に3本
抵抗 550Ω3緑青茶金。RGB各色用に3本
抵抗 270Ω4赤紫茶金。RGB各色用+Sync信号用
抵抗 1kΩ4茶黒赤金。データバスのプルダウン用
半固定抵抗 1〜2kΩ1確か1kΩのものを買ったと思うが、忘れた
半固定抵抗 300Ωぐらい?3これも詳細は忘れた。300Ωぐらいのものを買ったと思う。
セラミックコンデンサ 1nF41nF = 1000pF。表面に「102」
ユニバーサル基板12つに分割してGGの電池ボックスに入るぐらい
配線材適量GGからの信号線引き出しには、特に8芯シールドケーブルを使用
PS2用 21ピンRGBケーブル1ソフマップで100円で購入。モデルチェンジで最新のプレステ2では使えなくなったようで、投売り。
もっと買っておけばよかった。
9ピン D-Subコネクタ(オス)1おまけ。マスターシステム互換ジョイスティックポート用

今回の作例では、RGB出力基板を2つに分割し、GGの電池ボックスの部分に内蔵させることとしました。
半固定抵抗の調整にも便利ですし、なにより、見た目がスマートです。
電池での稼動が行えなくなってしまいますが、まさか、今さらGGを遊ぶときに単三電池を6本も入れている人はいないですよね!


2.製作

まずは追加基板の作成です。ユニバーサル基板を適当な大きさに2枚切り出し、GGの電池ボックスに収まるように整形します(簡単に書いていますが、結構面倒です)。

整形後、その基板上に電子部品を配線してゆきます。回路図は、フォーラムの"xavier"氏の2004/12/31の記事のものを参考にしてください。 回路図だけでは難しい?では、私の作った追加回路の配線図をどうぞ。


2枚の追加基板。クリックで大きい画像を表示します。

なお、1nFのコンデンサは、R、G、Bの各出力線とGNDの間に設置しましたが、その後、xavier氏より「取り付けると画面がブレるようなので外した」とのメッセージがありました。 作成する際、できればコンデンサあり/なしで画面出力を比較すると良いでしょう。

次に、GGのケースの加工を行います。
電池ボックスの端子(ばね等)は全て取り外し、GG本体基板への穴を大きめに開けてしまいます。できれば、その穴から追加基板を出し入れできるようにしておくと、GG分解時に便利です。 ついでに、RGBケーブル用の穴も開けておきましょう。


ケース加工後の状態。クリックで大きい画像を表示します。

最後に、GG本体基板、追加基板、RGBケーブルの配線を行います。
追加基板と追加基板、およびGG本体から追加基板への引き出し線は、ノイズ混入を防ぐためにシールドされたケーブルで配線を行いたいところです。


GG本体からの信号線引きだし部分。クリックで大きい画像を表示します。
(フォーラム中"DJ"氏の2005/1/2の投稿を参考にしている)


3.完成

完成しましたか?それでは、TVに接続してみましょう。


左:超面白い名作シューティングゲーム「GGアレスタII」
右:説明不要のアクションゲーム「ガンスターヒーローズ」

ところで、RGB入力可能なTVを持っていない方はどうすれば良いのでしょうか・・・そう、RGBエンコーダを介して接続すればいいわけですね!
ちなみに私はAVデミロを使っています。

「裏切り者!!」という声が聞こえてきそうですが、実は、GGのRGB出力化改造を始めた際、ブレッドボード上に組み立てた回路は、確かに自作のRGBエンコーダを使用していました。 しかし、どうしても上手く映らず、「これはRGBエンコーダが手製だからだ!参考にした回路図が正確であっても、アマチュアが作ったものだから、ノイズを拾ったりはんだ付けにミスがあったりしているのではないか?」 と思い、AVデミロを買ってきてしまったのです。

ただし、実際にはAVデミロを介しても映像は正常には映らず、実はR,G,B各色出力線の接続ミスだったことがわかりました。
いやー、高い授業料だった・・・。


サターンも草葉の陰で泣いています


4.おまけ

無事に完成しましたか?画面の映り具合はどうですか?

ところで、遊んでいて思ったのですが、改造したGG本体を持って遊ぶのはスマートではないですね。
というわけで、ジョイスティックポートを増設することにしました。

GG本体の基板から各入力スイッチの信号線を引き出し、D-Sub9ピンコネクタに接続します。
配線はマスターシステムのジョイスティックポートと合わせておきましょう。これで大好物のファイティングパッド6Bも使えます。

うーん、しかしファイティングパッド6Bでは、STARTボタンが手元で押せませんね。 これはメガドライブ純正パッドにも言える事ですが、マスターシステムやSEGA MkIIIに接続した場合、十字キーとトリガボタンB,Cしか有効にならないためです。
GGのゲームでは、STARTボタンがあたりまえのように使われていますので、ぜひ何とかしたいところです。


伝説の古文書。この本についてはまた別の機会に詳しく語りたいです

そこで小学生当時に購入した本で、当時の賢人たちの知恵を授かることにしました。
マスターシステム全盛の時代にも、やはり純正パッドの使えなさは切実な問題だったようで、MSXのパッドやファミコンのパッドを改造して マスターシステムに接続する方法が紹介されています。
その中で、ファミコン用のジョイカードをマスターシステム用に改造する方法「PAUSE&簡易スローモーション機能追加改造」(鹿川能孝氏)を 試してみることにしました。

この記事では、ハドソン社製"JoyCard MkII"をマスターシステムに接続し、加えて、Aボタン用の連射信号をSTARTボタン連射用に使う「スローモーション」改造を 行うというものです。ちなみに、当時はSTARTボタン(多くのゲームでゲーム中の一時停止・ポーズに使用)を連射してスローモーションを行うのが 相当ポピュラーだったらしく、本書の中ではPCエンジンのパッドの改造方法も紹介されています。
今回、GG用に改造するジョイカードでは、スローモーション機能は付けませんでした。

本の通りに改造してみたところどうも上手く動かず、結局、1ボタンごとにチェックしながら配線することにしました。
改造の内容をそのまま転載するのもなんなので、概要だけ記します。

  1. ジョイカード基板から、IC 4021を取り外す。

  2. 4021の抜いた穴の、1,4,5,6,7,13,14,15の8本のピンは、それぞれジョイカードのボタンに対応している。それを記録しておく。

  3. GG側ジョイスティックポートに合うよう、9ピンコネクタに配線。

  4. GG側からのGNDを4021の8番ピン,Vccは16番ピンに取り付ける。

手元で押せるようになったSTARTボタンと、16連射で心の闇を撃て!(c)宇宙ヤング
非常に見えにくいが、コネクタの「SEGA」ロゴがチャームポイント


参考にしたもの、謝辞
・Chris Covell氏による"Video Output from the Game Gear"
 このページを見てから、GGのTV出力化方法を探すようになりました。
 (ここにカラー版の改造方法が!よりきれいなスクリーンショットも豊富で一見の価値あり)

・Omar Cornut (Bock)氏による、"SMS Power!"

・"SMS Power!"のフォーラム"GameGear-TV"の書き込み内容全て。特にxavier,DJの各氏のものを引用している。

・ファミコン改造マニュアル VOL.3
 心の書物です。

(2005/08/08)末尾のリンク修正。
(2005/05/22)初版。



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