Panasonic FS-A1F(MSX2)のFDDを丸ごと換装する


序文
 この前、久々に「Panasonic FS-A1F(MSX2)」の電源を入れ、「ファイアーホーク」(とても面白いMSXのゲーム)で遊ぼうと思ったところ、なんだか ディスクドライブの調子が悪いみたいなんですが・・・
ディスクアクセスの度、モーターの音はすれども、ディスクアクセス特有の「ガシャ、ガシャ」音がありません。
 分解してみたところ、ディスクドライブの中のベルトがユルユルになっており、素人目にも「ダメだこりゃ」の状態です(このレポートは、いかりや長介氏の没年に書かれました)。

 FDD修理(=ベルト交換)についてネット上を調べ回りましたが、交換用ベルトは入手しづらいようで、 ネットオークションで出回っているようなありさまです。おまけに、ベルト交換作業自体も「余計なネジを緩めるな」「ヘッド(データ読み取り部)を絶対に動かすな」など、割と難しそうです・・・

買うんですかァーッ!?
オークションに出品されるFDDベルト。ゴムひも一本600円也


 そんな中、「MSXのディスクドライブを丸ごとDOS/VパソコンのFDDに換装する」というサイトも幾つか見つけたのですが、全機種での例があるわけではなく、 FS-A1Fのドライブ換装についての、そのものズバリのドキュメントは見当たりませんでした。

 しかし、FS-A1Fに搭載されていたディスクドライブのピンアサインは発見できました。
それを元にFDDを交換した方法をレポートします。




作業概要
1. 部品を集める

2. MSX本体から出ているFDDケーブルとDOS/Vパソコン用FDDの間にかませる「変換コネクタ」を作成する

3. MSXに搭載されているFDDを取り外し、DOS/Vパソコン用FDDを取り付ける


MSX本体、および交換用FDDに対する加工(穴あけ、ハンダ付け等)は発生しません。


1. 部品を集める
・DOS/VパソコンのFDD・・・今回はMITSUMI社FDD"MODEL D353M3D"を使用
・DOS/VパソコンのFDD用電源コネクタ
・FDDケーブル・・・コネクタ(メス)がついてるほうから15〜20cmばかり
・FDDケーブル用コネクタ(オス)・・・MSX本体から出ているFDDケーブルを受けられるもの※
・基板少し。FDDケーブル用コネクタに配線する際、あると楽


作成する変換コネクタ

※ FDDケーブル用コネクタについて・・・
 MSX独自の規格かと思っていたら違いました。通常のDOS/VパソコンのFDDケーブル用コネクタでOKです。
電子部品を扱う店で入手可能と思いますが、私はジャンクDOS/VパソコンFDDを「ハードオフ」で購入し、それから取り外しました。
でも、取り外す手間を考えると、コネクタのみを買ったほうがいいかもしれません。


2. 変換コネクタを作成する
以下のMSX用FDDピンアサイン、DOS/V用FDDピンアサインを見比べつつ、変換コネクタを作成します



図1:DOSV用FDDのピンの数え方(FDDを後ろから見た図)



図2:MSX用FDDのピンの数え方(オスのFDDケーブル用コネクタをピン側から見た図)


表2:MSX用FDDピンアサイン
(出展:Baboo!BBSのNOMURA氏の書き込み)
ピンNo.内容ピンNo.内容
1NC2READY
35V4INDEX
55V6DRIVE SELECT 0
75V8NC
9NC10SIDE 1 SELECT
11NC12MOTOR ON
13NC14DIRECTION
15NC16STEP
17GND18WRITE DATA
19GND20WRITE GATE
21GND22TRACK 00
23GND24WRITE PROTECT
25GND26READ DATA



表3:DOSV用FDDからMSX用FDDへの接続
ピンNo.接続先ピンNo.接続先
1MSXの「GND」と接続2NC(接続しない)
34NC(接続しない)
56NC(接続しない)
78MSX 4番ピン「INDEX」
910NC(接続しない)
1112MSX 6番ピン「DRIVE SELECT 0」
1314NC(接続しない)
1516MSX 12番ピン「MOTOR ON」
1718MSX 14番ピン「DIRECTION」
1920MSX 16番ピン「STEP」
2122MSX 18番ピン「WRITE DATA」
2324MSX 20番ピン「WRITE GATE」
2526MSX 22番ピン「TRACK 00」
2728MSX 24番ピン「WRITE PROTECT」
2930MSX 26番ピン「READ DATA」
3132MSX 10番ピン「SIDE 1 SELECT」
3334NC(接続しない)


■FDD電源の取り出し
MSX用FDDの3,5,7ピンから+5Vが出力されています。
GNDと合わせ、FDD用電源コネクタに配線します。

・MSX用FDDの3,5,7ピンを全て接続し、FDD用電源コネクタ「+5V」へ
・MSX用FDDの17,19,21,23,25ピンを全て接続し、FDD用電源コネクタ「GND」へ

■MSX側READY信号(MSX2ピン)
・MSX用FDDの2ピンを、MSX用FDDの17,19,21,23,25ピン(GND)へ接続する

後述しますが、これは「一応」ディスクを使えるようにする暫定的な対処です。


3. 取り付け
MSXを分解し、FDDを換装します。
作成した変換コネクタを介し、MSXとFDDを接続します。


換装終了
 以上で換装作業は終了です。修理の心配の無くなったFDDでMSXライフをエンジョイしてください(今さら)。

 ですが・・・若干気になる点があります。それはMSX側「READY」信号の取り扱いです。

 今回は、ディスクのゲームをプレイすることを最優先としたため、READY信号はGNDに接続しましたが、 試しに、ディスクを挿さないでMSXを立ち上げてみてください・・・立ち上がりませんか?
恐らく、読めないディスクや空のディスクを挿しておけば起動するはずです。

 READY信号は、ディスクの有無により以下のように変化させなければならないようです。

・ディスクを挿した状態・・・・・・READY信号は「Lo」(GND)
・ディスクを挿していない状態・・・READY信号は「Hi」(+5V)

 この問題について、ピンアサイン情報の転載をお願いしたNOMURA氏より、有用な情報を頂いたので引用します。

DOS/V機用FDDを使用する場合、READY信号が存在していません。
READY信号は、FDDへの"電圧+5V,FD挿入,モーター回転数(300rpm)"が
関与しており、READY状態="Lo"となります。
簡単な改造方法として、このうちの "FD挿入" を "疑似READY信号" にしてしまう
と言う暴挙のたぐいです。(Babooの過去ログを参考にしてください)
なお、この改造にはモーター部の基板を外す必要があり、ハンダゴテを使用しますが
それほど難しい事ではありませんので挑戦してみてください。

とりあえず今回は一応動くところまで。
(2004/04/01)





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